本図は大洗町市街地のほぼ全域を描いた地図です。大洗はもともと漁村だったので,海岸に近い部分は地割りが細長い短冊状で面積も狭かったため製図に苦労しました。この地割りに模様を入れて記号を貼ると,記号で模様が隠れてしまうため模様を浮き出させることが出来ませんでした。また,この狭い区画に斜線のハッチを入れるためには斜線の間隔を狭くする必要があったため,中間調のトーンになる住宅が少し濃い目になってしまったために全体が暗く感じる地図になってしまいました。
あと,この地図では道具の調子が余り良くなかったのです。その道具とは直線烏口です。これは長い直線を描くための道具なので模様を描くのに活躍します。しかしこの道具はインクが出る先端を刃物のように研がないと綺麗な線が描けないのです。研ぎ方の最初は粗い砥石で大ざっぱに研ぐのですが,最後の仕上げの段階では目の細かい仕上げ砥石で力の加減をしながら丁寧に作業をするので時間がかかるのです。地図の締め切りまで余り時間がなかったので研ぎ方が甘くなり,線のシャープさに欠ける地図になってしまったことが悔やまれます。