トップ > 地図一覧  > 龍ケ崎市中心部土地利用図(地域研究年報44号,2022年)

龍ケ崎市中心部土地利用図(地域研究年報44号,2022年)

本図は2021年に人文地理学分野の野外実習で茨城県龍ケ崎市を調査した折に大学院生が調査・作成を行った龍ケ崎市中心部の土地利用図を製図したものです。

今回の土地利用図は製図用原稿が今までの色鉛筆塗色のものではなく大学院生がGISを使って作成し、大型プリンターで出力したものを使いました。今までの色鉛筆塗色では塗り方の違いで色の濃さにムラができてしまい、トレーシングペーパーを透して見た色の判読がしにくいことが多かったのですが、これだとそれが解消され作業が大変楽になりました。

さて本題の製図に関することですが、今回は二つのことを考えて製図に臨みました。

一つ目は上にも書きましたが、原図がパソコンで作成されたため私がこの土地利用図を初めて見たのは、私のスマホに仕事の依頼文と共に添付された画像でした。スマホの小さな画面で土地利用図を見ると、かなり広い部分が黄色に塗られているのが見て取れました。ふつう今までの土地利用図ですと黄色は水田または農地のようなものに使われることが多かったので、最初は水田が多い場所なのかなと思いました。しかし以前に一度だけ行ったことのある龍ケ崎の中心部には水田などはなかったと記憶していたので、手元にあった地形図を見たところ、黄色の部分は住宅であることがわかりました。もし黄色が本当に水田であったならば、面積が大きかったので淡い表現を使い、その周囲に点在するものが水田の中に浮かんでいるような表現にしようかなと思いました。そこで今回の住宅地の表現は、この方向で製図してみようと思いました。模様としては今まで住宅地に使ってきた斜線ハッチは変えずに、今までよりも細い線を使い、間隔も広めにしたハッチを使えば淡いトーンの表現になるので、考えた方向の感じに仕上がると思いました。いくつか試し描きをして模様を決め、製図を行ったのですが、仕上がりを見ると当初考えたような感じには若干なっていませんでした。何でだ?と考えたときに思い出したのは、住宅地の部分を製図し始めた時に決めた線の太さではほんの少し細いかな?と感じたので、線の太さを若干(0.1ミリ弱くらい)太くして製図を続けたのです。これが失敗でした。思うに、黄色の部分の上からトレーシングペーパーをかぶせて製図をしたため、白い紙に試し描きで線を描いた時よりも描く線が細く見えてしまったのではないかと思われます。でもこんな広い住宅地を今までのようなトーンで描いていたら、この地図はもっと重い感じの地図になっていたと思いますので、考え方はこの方向で良かったのだと思います。

二つ目は、空家と空き店舗・空き事業所の表現についてですが、両方とも空いているものだから空家の表現で使った▲の記号を空き店舗等にも使えば良いのではないかと言われる方もいると思います。しかし空家は住宅を表す斜線のハッチが有るのに対して、空き店舗等は共通する模様が有りません。それなら区画を白ヌキにして中に記号を入れれば良いのでは?と思いますが、これだと地図の中で空き店舗等が目立たなくなる可能性があります。そこで区画の線を極太の線で表現し、これを空き店舗の意味にした方が
目立つのではないかとこのような表現にしてみました。完成した地図を見てみるとこれがちょっとしたアクセントになっていてよかったのではないかと思います。

今回はこのような二つのことを主に考えながら製図を行いました。
次回の作品(描く機会が与えられたならば)はどんなことを考えて製図するかが今から楽しみです。


マウスのポインターを近づけると,右側に地図が拡大表示されます。
マウスホイールを動かすと拡大する範囲を調整できます。