本図では私の頭を悩ませることが二つありました。一つは調査地域の形が歪で,どのように凡例やインデックスマップを配置するのか頭を悩ませた地図です。もう一つは,この地図で初めて住・商・業務系を含むビル,いわゆる雑居ビルの凡例が出たことです。今までは店の業種で模様を考えていたので,いろんなものが混ざった雑居ビルはどのような模様にすれば良いのか悩みました。結局ビルの中身は商・サービス業が多いだろうからと言うことで商業の表現に近く,線の間隔を広めにした斜線を用いました。
これ以外の表現では,鉄道用地を敷地内に模様を付けるだけの表現にして地図記号の鉄道記号を使わない方法で表現してみました。しかし鉄道記号は地図内のアクセントにもなるので以降は必ず鉄道記号を描くようにしました。また住宅の表現を今まで何回か使って失敗しているドットの乱記法で描いたのですが,今回はたまたまドットの大きさや間隔のバランスが良かったので柔らかく程よい濃さに仕上げられました。その結果,住宅より濃い表現をした商・サービス業や淡い表現をした運輸・流通や教育・宗教施設などの模様を引き立たせる効果がありました。
これ以降の都市的な土地利用図では,地図内で一番面積が広いであろう住宅を中間調のグレーにして,そこから濃い表現・淡い表現を考えていくようになりました。大げさな言い方になりますが,これが私の土地利用図製図での転換点と言えるかもしれません。