本図は私が初めて描いた都市的な土地利用図です。この頃の都市部の土地利用調査では宅地の土地利用を地割り単位ではなく建物単位で調べていました。そのため対象物の面積が非常に小さい物が有ることを意識して,模様も非常に間隔の狭いものを使ったために,見にくい感じになってしまいました。また模様も現在のように商業やサービス業といった大きな分類で考えるのではなく業種ごとに異なった模様を作ったので,分布が見にくくなってしまいました。あと,本図では地形の表現にケバと等高線を使ってみました。ケバは丸ペンの腰が柔らかくなるように研いだペンを使い,描き始めは力を入れて太くし,描き終わりが細くなるように力を抜いていくのです。しかし私は生来の不器用者ですので,国土地理院の前身である陸地測量部の職人さんが描くような綺麗なケバは描けませんでした。等高線はベースマップである都市計画図にあるものをそのままトレースしました。表現もアミ点ではなく,墨一色で描きました。2mごとの等高線であったので線が詰まった傾斜の急なところのトレースは苦労しました。そのためには使用した回転曲線烏口を丹念に研いで,自分の意思がペン先にきちんと伝わるようになってから作業を始めた記憶があります。